10:20 07/23 2019
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【Digest】 ◇仮処分後の岡本外来 ◇仮処分の内容を履行ぜず ◇待機患者に突きつけられた書面 ◇低リスクの患者がかかえる不安 ◇事件をなかったことに ◇国立がん研究センターのプレスリリースを偽造 ◇比較方法の誤り ◇民間企業の視点から事件を見ると ◇待機患者の苦しみは続く 岡本医師に割り当てられてきた小線源治療の手術枠は、週3枠。毎週火曜日に3人の患者が「執刀」を受けてきた。6月以降に手術枠に組み入れられる患者は、仮処分によって治療を受けられることになった人々。司法命令で命が繋がった患者たちである。7月2日が、手術の期間が延長されてのち、最初の手術日だった。 この事件の発端は、既報のとおり、滋賀医科大学医学部附属病院に、日本メジフィジックス社の協力で、前立腺癌小線源治療学講座(以下、寄付講座)が設置された2015年1月にさかのぼる。 寄付講座が設置されたあと、泌尿器科の河内明宏教授と成田充弘教授が、寄付講座とは別に泌尿器科独自の小線源治療を計画。本来は岡本医師が担当すべきだった23名の患者を、泌尿器科に誘導した。ところがふたりとも小線源治療が未経験だったために、患者を担当していた成田医師が「執刀」の前段で医療過誤を起こした。
河内教授らの計画は、岡本医師が塩田浩平学長に中止を進言したことで、とん挫したが、事件は終結しなかった。事実上、モルモットにされた被害患者らが、病院長や学長に抗議を開始。岡本医師も病院に説明と謝罪を要求した。
泌尿器科の不正行為に対し、隠ぺいで逃げ切ることを画策した病院幹部は、当初2017年末で、寄付講座の閉鎖と岡本医師の解雇を予定した。しかし既に多くの患者に対し2018年以降の岡本医師の治療予定が組まれていることを無視できず、代替案として2019年12月末をもって寄付講座を閉鎖することを告知。そして、岡本医師による「執刀」は、その半年前の6月30日で終了する予定と告知した。ところが、この決定により「執刀」のスケジュールが組めなくなる患者が30名以上発生した。 そこで岡本医師と待機患者の代表7名が、「執刀」期間を11月30日まで延長するように求めて、今年の2月に仮処分を申し立てたのである。裁判所は5月20日にそれを認める仮処分を下した。その結果、岡本医師による「執刀」は、11月30日までは継続されることになった。 |